幸せな新年を迎えるために、日本ではさまざまな〝縁起物〟を暮らしや食に取り入れますよね。年越しそば、おせち料理、しめ飾り、干支の飾り物などのような縁起物や験担ぎ(げんかつぎ)が、スペインにもあるのでしょうか?
今回ご紹介するスペイン情報は、スペインの年越しに見られる【縁起の良い伝統的な習慣】についてです。
現在スペイン生活やスペイン留学の真っ最中だという方、または観光や出張でスペインに滞在しているという方は、参考にして良い新年をお迎えください!
新年の福を招く「12粒のぶどう」

スペインでは1月1日の0時を迎える直前にぶどうを12粒食べる習慣がある、ということは【スペインのクリスマス:どんな過ごし方をする?】の記事の中でご紹介しました。
ではなぜ12粒なのか?という理由が「スペインの縁起担ぎ」に関係しています。
12秒で12粒食べ終えたら12ヶ月間幸運に
年越しにぶどうを12粒揃えるのは、1粒ずつが新年の12ヶ月を表しているからです。1粒食べることで1月分の幸運を祈り、12粒全部食べれば12ヶ月分の幸せを願えるというもの。これは、年齢性別を問わずスペインの人たちが毎年続けている験担ぎの代表例といえる習慣です。
実際は12粒を12秒間で食べ切るのはかなり難しいので、あらかじめ小ぶりのものを選び、種はのぞいておくなどの準備をして挑みましょう。
▼スペインの年末年始の過ごし方については、こちらの記事を併せてご覧ください♪
赤いアイテムを身に付けて開運祈願

スペインでは「大晦日に赤いものを身につけて年を越すと幸せになる」という言い伝えがあります。これには諸説あり、「赤い色の下着を身に付けると運気が上がる」「赤い下着を新調すると恋愛運がアップする」など、内容が少しずつ異なる説が語り継がれています。
何を信じるかはそれぞれですが、実際には下着に限らず、「赤い何か」を身につけて新年を迎えている人が多いようです。
男性ならフォーマルなスーツに赤のネクタイを。または靴下にさりげなく赤の差し色を添えてもいいですね。衣類ではなくても、赤いリボンを腕に巻く、赤いアクセサリーを付ける、などでもOKです。
スペインでは家族や友人と一緒に賑やかに明るく新年迎えるのが一般的なので、ファッションに赤のアクセントを添えることは華やかなひとときにふさわしいコーディネートの楽しみ方でもあります。
スペインでも食べられる縁起の良いお正月向け食材

ここからは、日本のお正月に食べられる縁起物の中で、スペインのスーパーでも買えて調理がしやすい3つの食材をご紹介します。おせち料理を豪華に再現することができなくても、ちょっとした一品を取り入れることでスペインにいながらも日本の伝統的な風習を味わうことができます。
【鯛】 魔除け・長寿・のシンボル
日本のおめでたい席に欠かせない「鯛」。魔除けや邪気払いには「赤鯛」が良いとされていますが、お正月には「家計が黒字になる」という理由で黒鯛も食されています。鯛は長生きする魚であることから長寿のシンボルともされていますね。
スペインでは赤鯛は besugo(べスーゴ)、黒鯛は dorada(ドラーダ)という名で売られています。
一般家庭で比較的よく使われているのはドラーダ です。濃厚な旨みを持ち、塩焼きするだけで美味しくいただけます。
【海老】いつまでも健康に...と願いを込めて
おせち料理に海老が必ず入っているのは、髭を垂らして腰を曲げた様子が長生きしている長老のように見えるから。美しい赤色の身が生命力の強さを象徴しているともいわれています。そんな海老はスペインでも年始の料理に用いられている定番食材です。
小ぶりの芝海老は gamba(ガンバ)。殻が柔らかく、殻付きのまま塩茹やオーブン焼きにしていただくのがスペイン流の食べ方です。
ガンバよりもひとまわりサイズが大きいのが、 langostino(ランゴスティーノ)。日本でいう車海老です。身がしまっていて食べ応えがあり、見栄えするためパーティやおもてなしに向いています。天ぷら用にも、ランゴスティーノがおすすめです。
【タコ】厄を払い多幸感を招く食材
タコもおせち料理に入っている代表食材の1つですね。茹でたあとの赤色が魔除けに効く、真っ黒な墨が敵や困難を遠ざけてくれるということから、タコが縁起物とされているそうです。「タコ」の語呂から「多幸」を招くともいわれているとか。
そんなタコはスペイン語で pulpo(プルポ)。スペイン料理を代表するタコ料理の1つが、ガリシア地方に伝わる伝統料理「タコのガリシア風」です。
スペインでは一般のスーパーでタコが丸ごと1杯売られています。家で調理する際は、吸盤の汚れをしっかり取るように塩揉みを入念にしてから塩茹でしてください。
スペインの伝統的な過ごし方を楽しみつつも、日本に古くから伝わる「縁起が良いもの」を取り入れてみると、日本の良き文化も感じられるのではないでしょうか。
今年も残すところあとわずかとなりましたね。
皆様、どうぞ良い年末をお過ごしください。素敵な新年を迎えられますように...