〜 おまかせマドリード代表 大畠有可の体験ブログ 〜
「おまかせマドリード」代表の大畠有可です。
今回は、スペインの失業率と就職事情についてご紹介します。
スペインで仕事を探したいと考えている方、ワーキングホリデー制度を利用しようとしている方、将来スペインでの起業を目指しているという方は、ぜひ参考にご覧ください。
スペインの失業率と日本との比較
2024年第3四半期のスペインの失業率は11.21%でした。これは2008年第2四半期以来の最低値となっています。
日本の現状と比較してみましょう。
スペインの失業率は日本の4倍以上!
失業率が11.21%ということは、スペインでは約9人に1人が失業しているという計算になります。一方、2024年の日本の失業率は2.5%でした。これは、約40人に1人が失業している計算です。
スペインの失業率は、日本の4倍以上にも及びます。
その理由には経済的な背景の他にスペイン独自の特徴が挙げられます。
なぜスペインの失業率は高いのか?

スペインの失業率には、次のような背景が影響しています。
1. 季節労働に依存している経済構造
スペイン経済は観光業や建設業などの季節労働に依存している割合が高くなっています。そのため、年間を通じての安定した雇用が少なく、観光シーズンが終わると失業率が上昇する傾向があります。
2. 若年層の高い失業率と労働市場の硬直化
スペインでは特に18~30歳の若年層の失業率が高い傾向にあります。2024年には若年層の失業率が30%以上と非常に高い数字を記録しました。
昨今は企業が新規採用を控えているケースもあり、特に若年層や移民が雇用されにくい状況です。
3. 移民の影響
スペインは移民の割合が高く、労働市場における競争が激化しています。
スペインの人口に占める移民の割合は、2025年時点で約12.69%。 これは、約8人に1人が移民であることを表しています。
ただし、移民はスペイン経済を支える重要な役割も果たしています。
4. 仕事をしない人の割合
スペインでは失業保険や社会福祉が充実していることが良い面ではありますが、一方でそのために長期間働かない人が存在しているのも事実です。
こうした社会的背景を理解すると、スペインの雇用についての理解がより深められるでしょう。
スペインで給料が高くない理由

続いては、スペインの給与体制について解説します。
スペインの法定最低賃金(SMI)との関係
スペインの法定最低賃金(Salario Mínimo Interprofesional = SMI)は、月額1,134ユーロ(14回払い)に設定されています(2024年時点)。これはヨーロッパの中で中位の水準ですが、物価や生活費が上昇している一方で、給与の伸びは限定的です。
この法定最低賃金が、給与体制にも影響を与えています。
例えば、多くの業界では最低賃金が基準となり、それを少し上回るだけの給与が設定されることが一般的です。
特に観光業やサービス業などでは、給与がスペインの法定最低賃金に近い水準に固定されやすい傾向があります。
物価と賃金のギャップ
スペインの物価(特に都市部の家賃や生活費)は年々上昇していますが、賃金の上昇がそれに追いついていません。
例えば、マドリードやバルセロナでは家賃が月額1,000ユーロ以上が一般的であり、最低賃金に近い給与では家計を圧迫します。
賃金の停滞は購買力の低下を招き、特に低所得層に大きな影響を与えています
教育とスキルのミスマッチ
スペインでは大学進学率が高い一方で、専門職に必要なスキルを持つ労働者が不足しています。このスキルのミスマッチが原因で、技術職や高度な仕事への人材供給が追いつかず、賃金が抑えられる傾向があります。
スペインの給与で実施される「14回払い」とは?
スペインの法定最低賃金(SMI)が月額1,134ユーロ(14回払い)と前述しましたが、「14回払い」とはどういう意味なのか、もう少し詳しくご説明します。
スペインでは、年間の給与を14回に分けて支給する仕組みが一般的です。
12回の通常の月給に加え、2回の特別支給(ボーナス的な支払い)が含まれます(通常、夏季とクリスマスに支給されます)。
例えば、月の給与額が1,134ユーロの場合:
- 14回払いでは年間給与は 1,134 × 14 = 15,876ユーロ となります。
ボーナスなしの12回払いの場合、14回払い分を12回に換算すると毎月の給与額は次のようになります。
- 月額総支給額(Bruto): 15,876 ÷ 12 = 1,323ユーロ
手取り額(Neto)の目安

給与はすべて手取りになるのではなく、総支給額から社会保険料(Seguridad Social)が引かれます。また、所得税などの控除項目もあります。
所得税(IRPF)の控除率は扶養家族の有無などによって定められるため、同じ給与額でも個々で手取り額(Neto)は異なります。
給与が月額1,134ユーロ×14回払いの場合:
- 社会保険料(Seguridad Social)は、総支給額の約6.35%(約84ユーロ)
- 推定手取り額は、1,323 - 84 = 約1,239ユーロ
スペインでの生活の課題

最低賃金の引き上げは進んでいるものの、スペインでは安定した職を得るのが難しいのが現状です。
マドリードのような都市部では、家賃や生活費の高騰が課題となっています。収入の大部分が家賃に消えるケースも多く、多くの人々が生活費を抑える工夫を余儀なくされています。若い世代ではシェアハウスで生活費を抑えている人も。
仕事があっても、生活費や物価の高さから「余裕のない暮らし」を強いられることもあり、失業中の場合はさらに厳しい現実に直面します。これが今のスペインの労働市場と生活の実情です。
スペイン生活の扉を開こう!
おまかせマドリードによるリアルなアドバイス
私、大畠はゼロからスペイン語を学び、ワーキングホリデービザで学生としてスペインに移住しました。その後、スペインで起業するまでに至り、この経験を通じてスペインの現状や可能性を深く理解しています。
だからこそ言えるのは、今のスペインには課題があるとはいえ、稼ぐチャンスも数多く存在しているということです。
スペインでの生活を考えている方、将来起業を目指している方へ、「おまかせマドリード」では、スペイン独自の文化やビジネス環境を基にした具体的なアドバイスを提供しています。
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PRECIOS / ご利用料金
スペイン事情提供・相談サービス 60分 72,60 €(税込)